アート思考でおしゃれを超える|インタレストなデザイナーズ・シェアオフィス・レンタルオフィス|PREMIUM OFFICE
【はじめに】
PREMIUM OFFICE 五反田のレストエリアの装飾展示のテーマとして採用した「アート思考」についてご説明しておきます。
シェアオフィス、レンタルオフィスに入居されるお客様の中には、スタートアップ段階の方も多数おられますので、ちょっとした短い休憩時間の中で、ビジネスを加速させるきっかけとしてお役に立てればと考えた「インタレストな空間創り」のアプローチに合うテーマとして選んだものです。
そこで今回は、五反田のレストエリアの「インタレストな空間創り」のアプローチのご紹介を兼ねて、ビジネス用語的な「アート思考」という場合について一般的に言われている内容※を中心にまとめてみました。
※便宜的に「言い切り型」になっていますが、まだ比較的新しい概念であり、ここに書かれていることが全て正しく証明されたとか、これで全て、ということではありません。
【目次】
Ⅰ.アート思考とビジネス
アート思考(Design Thinking)は、最近、ビジネスにおいて革新的で問題解決力の高い方法として大変、注目されています。そこで、アート思考がビジネスにおいて有用である理由のいくつかをあげてみました。
- ユーザー視点のアイデア
アート思考はユーザー視点に近いアプローチを行う思考法であり、製品やサービスの開発においてユーザーのニーズや期待を理解することにとても役立ちます。
これにより、優れたユーザーエクスペリエンスを設計し、顧客満足度を向上させるビジネスにつながります。 - 柔軟性と革新性
アート思考は柔軟な発想とイノベーションを惹起しやすい思考法です。従来のビジネスでは、ロジカルシンキングによる問題解決手法がもてはやされてきましたが、それとは異なる視点からアプローチすることで、新しいアイディアや製品の創造が可能となります。
いわば、左脳型のロジカルシンキングと、右脳型のアートシンキング、この両方を上手く使うことでクリエイティブな発想が生れやすくなるという効果が期待できます。 - 複雑で正解のないあいまいな課題の解決
現代のビジネスはますます複雑な状況に直面しており、ロジック的な唯一の正解のない課題が次々に生まれます。
アート思考はこうした複雑かつあいまいな問題に取り組むための思考法としてビジネスにおいても活用できると期待されています。 - チームワークとコラボレーション
アート思考はマルチなチームワークとコラボレーションを生みやすい多様性を許容できる思考法です。
異なるバックグラウンドや視点を持つチームメンバーが協力して問題に取り組むことで、より多様でクリエイティブな解決策が生まれやすくなります。 - プロトタイピングとトライアンドエラー
アート思考ではアイディアを具体的なプロトタイプに落とし込み、それをユーザーにフィードバックを得るためにテストするプロセスで役に立ちます。
これにより、効果的かつ実用的なソリューションを迅速に開発し改良することができます。近年、重視されつつある「アジャイル開発」といった手法においても、アート思考に基づくアプローチが有効です。 - リスクの低減
アート思考を活用して、早い段階からプロトタイプモデルを作成してフィードバックを取り入れることで、本格的な開発に入る前に事前に問題やリスクを発見し修正する機会を得られる可能性が高まります。
これにより、投資やリソースの無駄を減少させることが期待でき、ビジネスのリスクを低減できます。
このように、アート思考はビジネスにおいて創造的な解決策を生み出す手法として有効であり、競争の激しい環境で持続可能な競争優位性を築くための思考法として、従来のロジカルシンキングに匹敵するほど世界的にも重視されてきています。
Ⅱ.アート思考はスタートアップに有益な思考法
アート思考は、特にスタートアップ※段階の企業にとって有益であると言われています。上記のビジネスの項目と重なる部分も多いですが、その理由をいくつかあげてみました。
顧客ニーズの理解
スタートアップはまだ市場において確立されておらず、従って顧客のニーズや期待を理解することが不可欠でが、アート思考はユーザー視点につながりやすい思考法です。アイディアの創造と差別化
アート思考は、柔軟な思考とクリエイティビティを生む思考法であり、他社とは異なる独自性と革新性のあるアイディアを生み出すのに役立ちます。素早いプロトタイピングとテスト
アート思考はアイディアを素早く具体的なモデル、プロトタイプに落とし込む際に役立ち、早い段階から製品やサービスのユーザー視点での評価が可能となり、市場での受け入れ可能性を検証しやすくなります。リソースの最適利用
スタートアップは事業に投下できるリソースが限られていることが一般的ですが、リソースを無駄に使わずに効果的な製品やサービスを開発するためのプロセスにおいて、アート思考によるアプローチが役立つことが多いと言われています。多様性のチームワーク
スタートアップは少人数で構成されることが多く、チームメンバーが異なる専門性を持つことがあります。アート思考は多様性を受け入れやすい思考法であり、異なるバックグラウンドやスキルを持つメンバーが協力し、統合的な解決策を見つけるのに適しています。
フィードバックによるユーザー視点の取得
アート思考は、ユーザーフィードバックを取り入れるプロセスにおいても役立ち、これにより、製品やサービスをユーザー視点で改良する機会があり、市場に適応させることができます。
スタートアップは市場に新しいアイディアをもたらし破壊的な変革をもたらす存在ですが、同時に大きな不確実性も伴います。
アート思考はこのような不確実性に対処し効果的にアイディアを発展させ、ビジネスを成功に導く手段として、大きく役立つ思考法と考えられています。
また、AIが急速に進歩し、ビジネスやクリエイティブワークの領域でもその活用が当たり前となってきていますので、その使いこなしも含めて、従来以上に人間の創造性を発揮した差別化による個性というものが求められる時代となっており、答えのない命題を考えるための「アート思考」はさらに重要度を増してくると予想されます。
問題は、本当にこのようにビジネスに役立つアート思考が、誰にでも容易に可能かどうか、ということになります。
※参考:スタートアップとベンチャー
「スタートアップ」とはアメリカで使われ始めた言葉で、一般的には起業や新規事業の立ち上げを意味する言葉ですが、専門用語での使われ方としては、特に革新的なアイデアで短期的に成長する企業を指します。
よく混同される言葉に「ベンチャー」がありますが、ベンチャーとスタートアップの大きな違いは、革新性の有無です。
ベンチャーは「持続的イノベーション」がベースで、既存のビジネスモデルに独自の新たな変化や工夫を加えて新サービスを生み出すイメージです。
スタートアップは「革新的なイノベーター」です。常識に囚われず、あるいはそれまでの常識を壊して前例のない新規ビジネスを展開するイメージです。
このように、ビジネス専門用語として使う場合の「ベンチャー」は既存ビジネスモデルから新サービスを追求するスタイルの企業で、「スタートアップ」は革新的アイデアで新しいサービスを作り出す企業、という違いがあります。
今回は革新性という観点から「スタートアップ」に焦点をあてましたが、もちろん、アート思考はベンチャーにも使える思考法でしょう。
Ⅲ.アート思考はどうすればできるのか
アート思考は誰にでも理解し、実践できる思考法と言われていますが、アート思考を実践する上での一般的なポイントは以下のようなものです。
- 柔軟でオープンな心構え
アート思考を実践するには、柔軟性を持ったオープンな心構えが必要です。
新しいアイディアや異なる視点に対して、何でも自分や世間の常識に照らして否定するのでなく、まずは受け入れの姿勢を持つことが重要です。 - 共感力と観察力
ユーザー中心のアプローチを取るためには、共感力を持ち、観察力を養うことが大切です。
自分の視点や考えを主張する前に、まずは相手の立場や感情を理解するように努力する姿勢が必要になります。 - プロトタイピングとテスト
アイディアによる仮説を立てて、それをプロトタイピングやテストのスキルによって具体化していきます。
その際に、十分な事前検証ができない不安に打ち勝ち、失敗も恐れずに実際の経験を通じて学びながら完成度をあげていく姿勢と勇気が必要です。 - チームワークと協力
アート思考は多様なメンバー間での協力とチームワークが重要です。
異なるバックグラウンドやスキルを持つメンバーの多様な考え方を相互に出し合って、それらを総合的に活用して問題解決に取り組むことが多様性のある革新的なアイデアにつながります。 - 反復と改善
アート思考は最初は現実味のない突飛な考えのようなものも出てきますが、そこから反復的なプロセスを通じて多様な意見の中で成熟させて継続的に改善していき、その中から最良の解決策を導くことが必要です。
アート思考はデザイナーやイノベーターだけでなく、経営者、エンジニア、マーケター、教育者など、さまざまな分野の人々にも有効な思考法です。実際、企業や組織においては、従業員全体がアート思考を取り入れ、新しいアイディアを生み出すことが重要視されています。
Ⅳ.ロジカル思考とアート思考
ロジカル思考とアート思考は、異なるアプローチを持つ思考法ですが、どちらが役立つかは状況や目的によります。以下に、それぞれの特徴と適用例を示します。
- ロジカル思考(シロジカルシンキング)
■特徴
論理的で体系的な思考を重視します。
問題解決や意思決定において、論理的なステップと順序を追求します。
証拠やデータに基づいて分析し、合理的な結論を導き出すことを目指します。■適用例
複雑なデータ分析や数値に基づく問題解決に適しています。
詳細な計画や手順が求められるプロジェクトや業務に有効です。
資金調達や投資判断などのビジネス上の意思決定に向いています。 アート思考
■特徴
創造的で柔軟な思考を強調します。
ユーザーのニーズや感情を理解し問題に取り組みます。
アイディアの発散的生成やプロトタイピング、フィードバックサイクルを通じて問題解決を進めます。
■適用例
新しい製品やサービスの開発において、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために使用されます。
問題の枠を超えてクリエイティブな解決策を模索する場合に有益です。
チームの協力や共感が必要な課題に対して効果的です。適合する課題
この2つの思考法のどちらが役立つかは状況によります。
■複雑な問題に対処する場合
ロジカル思考が有益です。データの分析や論理的なプロセスが要求される場合に優れています。
■革新やクリエイティビティを求める場合
アート思考が適しています。新しいアイディアや製品の開発、ユーザービリティの向上等に効果的です。
このように、どちらの思考法が優れているかとかではなく、課題に応じて使い分けることが必要です。
実際のビジネスにおいては、両者を組み合わせて使いこなして初めて最適な解決策が見いだせることの方が多いでしょう。
問題の要素によって、論理的に分析したり、クリエイティブな解決策を模索するという2つの組み合わせで、より包括的で効果的な結果をもたらすのです。
Ⅴ.右脳と左脳の関係
左脳がロジカルで右脳がアート
ロジカル思考とアート思考は、それぞれ左脳と右脳の異なる能力や傾向に関連しているとされることがあります。左脳は論理的で分析的な思考、数学的な能力に関連しており、右脳はクリエイティブで感性的な思考、視覚的な能力に関連しているとされています。これをもとにして、どちらがその人が得意かによって、右脳タイプの人、左脳タイプの人、という使われ方もします。
■ロジカル思考
主に左脳の機能にアプローチし、データの分析や論理的な手法を強調します。数値や事実に基づく合理的なアプローチを追求します。
■アート思考
主に右脳の機能にアプローチし、感性や創造性を強調します。ユーザーの経験や感情に焦点を当て、柔軟なアイデアの生成やクリエイティブな解決策を目指します。右脳と左脳は密接に連携
ただし、最新の神経科学の研究によれば、左脳と右脳の役割分担は単純ではなく、両脳は密接に連携しているとされています。実際、多くの人が日常的な思考や問題解決の際に、直感や経験、感性、論理的な分析など、異なる思考プロセスを同時に活用しているはずです。アート思考とロジカルシンキングも、脳の異なる側面を両方上手く活用することで、より総合的かつ効果的な問題解決や創造的なプロセスを生み出すことが本来の狙いです。
アート思考もロジカル思考も訓練できる
アート思考やロジカルシンキングを有効に組み合わせる能力は、訓練や経験によって向上させることができます。特に、問題解決やイノベーションの分野では、異なる視点からアプローチする能力が重要ですが、訓練や練習によって、意識的に柔軟に思考する習慣を身につけることができるとされています。
アート思考は「右脳タイプで無意識のうちにできる人だけが可能な思考法」ではなく、むしろ、異なる思考法を意識的に採り入れ、必要に応じて使い分けることが、柔軟かつ効果的な問題解決やクリエイティビティの促進につながるということです。
Ⅵ.アート思考とロジカル思考の両方を柔軟に使いこなすには
アート思考とロジカルシンキングの両方の能力を向上させる、いくつかの訓練や練習が役立つされていますので、最後にご紹介しておきます。
- 異なる分野の学習
新しいスキルや知識を身につけることで、脳は異なるパターンを形成しやすくなります。
例えば、音楽、美術、科学、プログラミングなど、異なる分野に挑戦することが有効です。 - ワークショップへの参加
アート思考をテーマに組み込んだワークショップに参加することで、アート思考の手法を実践的に学び、問題解決のプロセスに慣れることができます。 - アートやクリエイティブな活動
絵画、彫刻、音楽制作、ライティング、デザインなど、様々なアートやクリエイティブな活動を通じて、創造性を刺激し、高めていくことはとても有効です。 - ブレインストーミング
問題に対するアイディアを集めるブレインストーミングセッションを行い参加することで、多様な視点からのアイディアの発散を促進できます。 - プロトタイピングのスキルアップ
アイディアを具体的な形にするためのプロトタイピングを練習し、早い段階からトライすることで、柔軟な発想を養うことができます。 - 多様な実体験
異なる種類の体験やアクティビティ、クロスフィット等に実際に参加して、身体的感覚と知覚を刺激することで、新しいアイディアが生れやすくなります。 - 問題解決ゲーム
論理的思考を鍛えるために、謎解きやパズルゲーム、戦略ゲームなどを積極的に楽しむことも効果的です。
これらの訓練は個々の興味や目標に合わせて調整しながら、継続的な練習や新しい経験を通じて、アート思考とロジカルシンキングの能力を向上させることができる、とされています。
長くなりましたが、さて、本当にそんなにうまくいくのかどうか、疑心暗鬼になる方もおられるでしょうが、「信じる者は救われる」という精神で、あなたも取り組んでみてはいかがでしょうか。