【はじめに】
東京都内に6拠点のおしゃれなデザイナーズ・シェアオフィスを展開する「PREMIUM OFFICE」シリーズですが、開設当初より、ブルックリンモダンスタイルやアパルトマンスタイル、ハンプトンスタイル等のデザインコンセプトで、クリエイティブなビジネスをサポートさせて頂けるカフェのようなワークプレイスをご提供してきました。
しかし、最近ではデザイナーズオフィスも珍しくなくなり、見た目のおしゃれさだけでは、クリエイティブなビジネスのアイデアが自然に次々と生まれるということを期待するのが難しくなってきているのではないか、という疑問も生まれてきました。
そこで、PREMIUM OFFICEの各拠点では、今の「おしゃれなデザイン」をそのまま活かしつつ、さらにクリエイティブオフィスとしての効果を高めた空間をご提供すべく、「おしゃれ」の先にある「インタレストなシェアオフィス」という試みにも取り組んでいます。
そこで「おしゃれ」なシェアオフィスの生まれた背景から、「おしゃれ」を超える、とはどういうことか、まで、私たちの取り組んでいる「PREMIUM OFFICE」の事例とともに、ご紹介させて頂きます。
(目次)
1.おしゃれなデザイナーズ・シェアオフィスやレンタルオフィスが生れた時代背景
- デザイナーズオフィスが珍しかった時代
おしゃれなレンタルオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペースが増えてきて、今ではもう珍しくはなくなってきました。というよりも、シェアオフィスのコワーキングスペース等のインテリアは、今や、おしゃれなデザイナーズ・テイストな内装デザインが当たり前という時代です。
「デザイナーズ・オフィス」というものがまだ珍しかった時代には、そもそも、シェアオフィスやコワーキングスペースといった形態のオフィス自体もまだ、殆どなかった頃です。
- SOHOを契機としたデザイナーズオフィスの普及
正確な時期は不明ですが、住宅の1室をオフィスにする「SOHO」が普及し始めたのは1980年代後半以降※、「デザイナーズマンション」という言葉で呼ばれるおしゃれなマンションが普及し始めたのが1990年代くらい※と言われています。こうした中で、クリエイターのような中小個人を中心として、おしゃれなデザイナーズマンションをSOHOとして借りるケースが急増、このニーズを取り込むべく、2000年代初頭くらい※から、通常のオフィスにも「デザイナーズ・オフィス」という内装をおしゃれにしたオフィスが普及し始めたようです。
※いずれも正確な時期は不明で、この時期の正確性を保証するものでもありません。
- 働き方改革とフレキシブルオフィス
そういう時代の変遷を経て、2016年には、当時の安倍晋三内閣が「働き方改革」を進めると表明し、オフィスにも、多様な有り方が求められて、シェアオフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペースといった、フレキシブルオフィスが一層普及し始めました。(日本のシェアオフィス自体は2005年前後に第一号が生れたらしい、との情報もありますが、当時はまだあまり注目されていなかったことから、正確な情報がないようです。) - クリエイティブオフィスの普及
クリエイティブオフィスの概念、ワード自体は1980年代に「ニューオフィス」という呼び方がまず先行し、その後、2007年に経済産業省が策定した、ものづくりの価値軸「感性価値創造イニシアティブ」の中で「クリエイティブ・オフィス」についても触れられて積極的に推進されるようになり、一定の定義づけられたオフィスの形として普及しました。この中では、「空間設計」という項目で、デスクレイアウトの工夫やICTツールの活用等の有効性などに言及されてはいますが、「デザイナーズオフィス」のようなビジュアルデザインのおしゃれさ、について特に推奨する内容ではありません。
しかし、クリエイティブオフィスが推奨する「リラックス効果とコミュニケーションが生れやすい環境」という観点から考えた場合に、「サードプレイス※」という概念も注目され、カフェのようなおしゃれなデザイナーズオフィスのビジュアル環境は、それだけではクリエイティブオフィスの要素を満たしている訳ではないものの、リラックスしやすい環境という意味で、有効な要素の一つとしてとして認識されるようになっています。
そして、世界の中で独自の個性的なアイデアをどんどん生み出していかないと競争に勝てない時代、という認識が産業界にも浸透し、クリエイターの借りるSOHOのような小規模なオフィスフロアではない、大企業等の大型オフィスにおいても、「デザイナーズオフィス」の要素を含んだ「クリエイティブオフィス」がいっそう普及しはじめました。
※サードプレイスとは
サードプレイス(第三の場所)とは、自宅(第一の場所)、学校・職場(第二の場所)とは別の居心地のいいリラックスできる場所。現代のストレス社会では、ストレスから解放されリラックスしやすい場所の重要性をアメリカの都市社会学者レイ・オルデンバーグが提唱し、注目されるようになった用語。- おしゃれなデザイナーズ・シェアオフィス
こうした中で、シェアオフィスにおいても、単にデスクとチェアをたくさん並べただけの空間ではない「デザイナーズ・シェアオフィス」のような、おしゃれなシェアオフィスが普及してきた、というのが今の流れです。
2.おしゃれなレンタルオフィス・シェアオフィス等が「当たり前」になった理由
- デザインスタイルを導入したプレミアムオフィスシリーズ
まだ、おしゃれなシェアオフィス、レンタルオフィスが少なったころから、プレミアムオフィスシリーズは、第1号となる拠点「プレミアムオフィス神田」から、こうした流れを先取りする形で、いち早く「ブルックリンモダンスタイル」というカフェのようなインテリアのおしゃれなデザインスタイルのシェアオフィスを企画、開発し運営してきました。
そして、その後の拠点展開に置いても、「ブルックリンモダンスタイル」に続いて「インダストリアル・スタイル」や「パリのアパルトマン・スタイル」、さらには、当時の日本のオフィスではおそらく初めてであろうニューヨークのビーチリゾートの「ハンプトン・スタイル」というインテリアデザインのシェアオフィスを展開中です。 - 大型新築ビルにまでおしゃれなシェアオフィスが出現
一方で、シェアオフィスやレンタルオフィスの分野には、さらに多くの企業が参入して、こうしたフレキシブルオフィスの形態の物件が急増。
そして、そもそも、おしゃれでないシェアオフィスでは競争に勝てない、という感じで、新築大型ビルのフロア内にあるシェアオフィスでも、おしゃれ物件が当たり前という状況になっています。 - オフィスをおしゃれにする目的は
都心の一等地の新築ビル内のシェアオフィスともなると、防音やセキュリティ、個別空調など、ハイスペックな最新設備の上に、お金をかけた内装で、いいことづくめのようですが、問題は料金です。
スタートアップや個人のフリーランスの方では手が出ないような高額な料金になってしまうと、入居できるのは、資金豊富な中堅企業や大企業のサテライトオフィスや、かなり高年収の人になってきます。
逆に言えば、既にビジネスで一定の成功を経た企業ですら、こうしたおしゃれなデザイナーズ物件が人気となっている時代。つまり、お金に余裕があるから、少しお洒落なオフィスにしてみよう、とかの気分的な動機よりも(それも少しはあるかもですが)、厳しい生き残り競争が繰り広げられるビジネスの世界で、いかに「クリエイティブなオフィス環境」が求められているか、ということかもしれません。
3.おしゃれさだけでは「サードプレイス」的な効果が期待できない時代に
- おしゃれにするだけで簡単にアイデアが生れる?
このような流れの中で、「サードプレイス」的な観点から「おしゃれな見た目のデザイン」も、クリエイティブオフィスの要素の一つとして認識されて普及してきましたが、おしゃれなオフィスが珍しくなくなってくると、それまで「おしゃれなデザイナーズオフィス」であれば、それだけでいいアイデアが次々に浮かんでくる、といった「サードプレイス」としてのリラックス効果が感じにくくなってきている方も多いのではないでしょうか。 - 環境に慣れてしまうと…
昭和の時代の金太郎飴のようなオフィス空間よりも、カフェのようなインテリアの空間の方がリラックスしやすい、といった効果は、相対的なビジュアル面の差があったからこそ大きかった気がします。
それが、今や自宅も学校も会社もおしゃれなデザインが普及し、どこに行っても「デザイナーズ」テイストの空間が当たり前、という感じになってくると、「サードプレイス」的な「クリエイティブオフィス」効果が薄れてきても不思議はありません。 - 「インタレスト」なデザイナーズオフィス
そこで、いち早く、デザイナーズシェアオフィスを企画開発、運営してきたプレミアムオフィスでは、おしゃれなだけではない真にクリエイティブなオフィス創りという視点から、「おしゃれを超えたインタレストなデザイン」の方向性を探っています。
4.おしゃれを超えた「インタレストなデザイナーズ・シェアオフィス」とは
「おしゃれを超える!」なんて言い方は少し気恥ずかしいですが…
「おしゃれを超えたインタレストなデザインのシェアオフィス」とは、単なる見た目のおしゃれさだけを追求したオフィス空間ではなく、独自性と創造性が息づく未来志向のオフィスデザインのあり方を追求する空間です。
「おしゃれを超える」などという言い方は、大スターの出演するファッションのCMとかでもないと、使うのは気恥ずかしくて少々ダサイ感じがしてしまいますが…敢えてそういうキャッチーな言い回しをしてみました。
そもそも「おしゃれ」の意味は
そもそも、「おしゃれ」の意味、を辞書で調べると、「洗練されている、あかぬけしている」とされています。よく考えられている、練られている見た目、みたいな意味でしょうか。また「遊び心が感じられる」みたいに説明している事例もあります。
でも、本当に「おしゃれ」と言っていいかどうか、とかを深く考えて使っているというよりは、概ね「見た目」が「普通」よりもどこか魅力的であれば「おしゃれ」というのが一般的でしょう。
よく考えてみると、曖昧でわかりにくい言葉ですが、見た目のことだけでなく、その人や物の本質的な魅力の表現としての「雰囲気」が表れていることが「本当のおしゃれ」ということであるとすれば、単に、流行を取り入れるだけではない、自分なりの何かを加えて表現する、といった多様な個性の表現が「現代のおしゃれ」のあり方ではないでしょうか。(勝手な解釈ですが)
- 「おしゃれを超えたところ」にあるものとは?
流行等の見かけの真似だけではない「おしゃれ」の先にあるものは、本当の意味での「おしゃれ」なので、「おしゃれを超える」というのは実はおかしな表現ですが、気持ちの上での掛け声みたいなものとしてお許しください。
間違った日本語を使うのはそもそも「おしゃれ」じゃないと言われそうですが… - インタレストなデザイン
見た目の真似の「おしゃれ」の先にあるものこそが本当の「おしゃれ」という意味も含めて、おしゃれを超えた「インタレストなデザイン(Interesting Design)」というワードを使う理由は、ただビジュアル的に印象的であるだけでなく、そこにいる人の多様な興味を引き寄せ、異なるバックグラウンドやアート、科学、テクノロジーなどの分野からインスパイアを引き出すような何かを組み合わせた空間創りを試行していこうという意志を表現したいからです。つまり「インタレストなデザイナーズ・シェアオフィス」とは、AIが急速に進展し、真にクリエイティブな思考でAIをどう使うかまで問われるような時代のオフィスとして、「創造性を刺激し、新しいアイデアの芽生えを促進するような多様な仕掛けをオフィス空間の中に配置していく」ことで「サードプレイス」的な効果を高め、「クリエイティブ・オフィス」としての本来の効果を取り戻そうという独自の試みです。
結局は「おしゃれなデザイン」と同義ではあるのですが、「どのようなおしゃれさを追求するのか」というニュアンスをお伝えするための独自表現です。
5.PREMIUM OFFICE 五反田のレストエリアの事例
- レンタルオフィス(個室)のステージング(モデルルーム)も兼ねたレストエリア
館内のデザインスタイルにあわせて個室内も「おしゃれさ」だけを追求していくと、意外とお金がかかって現実にはそこまでやる人はいない、というのがロープライスなレンタルオフィスの個室内の使われ方の実情ではないでしょうか。
そこで五反田のレストエリアでは、一種の「リアリティのあるモデルルーム=レンタルオフィスのステージング」を兼ねたうえで、あまり高価なインテリアグッズを使わずに「インタレストな空間」創りにチャレンジしてみました。敢えてゴチャゴチャ感やチープ感もある、という装飾展示を企画しました。
6.インタレストデザインにはインテリアが高価かどうかは関係ない
五反田のレストエリアをインタレストに飾る、というテーマで採用したコンセプトは、近代建築の作品や歴史と現代アートを通じて「アート思考に触れる」という内容です。
レストエリア、という場所であまり難しい左脳的な展示ではなく、ぼーっと眺めながらも、右脳で何かの刺激を受けれるもの、そして、ビジネスの発想にも有効なテーマとして選んだのが「アート思考」です。
「おしゃれを超える」という大袈裟なキャチコピーはさておき、その真意は下記のような「Interesting Space」を作ることでした。
- ビジネスのアイデア創出に役に立つものを並べてみる。
- 短い時間でぼーっとしながらも「なるほど」感がうまれるように展示する。
- 「遊び心」を込めて「チープさを気にせず」に展示する。
- 小さな美術館にするつもりで展示する。
- 書籍も短時間にパラパラみれるものを選びつつ一種のインテリアにする。
チープというのは、例えば書籍をインテリアのようにお洒落に飾れるように、すこしばかりカッコいい書棚を探すと、もうそれだけで数万円かかりますが、ここでは100円ショップのパンチングボードを壁に立てかけただけで1,000円もかかっていません。書籍数冊の購入代金の方がお金がかかりますが、こちらは大事なビジネスのアイデアのきっかけになるアイテムなので定価で新品を購入しました。
書籍だけは、高級なインテリアのようなデザインで値段が変わるものではないので、家賃の高いハイクラスなシェアオフィスで、高級な書棚に置くものだろうが、ロープライスなシェアオフィスに置くものだろうが、何を選ぶかのアイデアとセンスの勝負です。
もちろん、館内全体の装飾は「チープさ」を感じるようなものではなく、スタイリッシュな空間に仕上がっています。その中の一角に、敢えてこのようなエリアを少しだけ作ってみたという試みで、言わば、「サードプレイス」の中にある「フォースプレイス」という感じですが、何もない殺風景なレストエリアよりも落ち着く、楽しい、という方が多いようで概ねご好評を頂いています。
当初は3ヶ月くらいの期間限定の装飾でしたが、しばらく継続していますので、ご内覧時には、是非、レストエリアにもお立ち寄り下さい。
実際に作ったファンズワース邸のモック。材料費は安いけれど…建築の素人には結構大変でした(-_-;)
7.インタレストな「クリエイティブオフィス」創りをサポート
弊社は、シェアオフィスビジネスのご同業の皆様とは競合する部分もありますが、基本的には不動産企画開発の会社です。
シェアオフィスを運営されているビルオーナー様やご同業の皆様も、オフィス探しからシェアオフィス等の企画開発、あるいはクリエイティブオフィスへのリノベーション工事のニーズまでお気軽にご相談下さい。
また、大型ビルやリゾートホテル等のコンストラクションマネジメントの受託も数多くお引き受けさせて頂いている実績もございますので、大規模な工事のマネジメントにお悩みのビルオーナー様も、是非、ご相談ください。
「インタレストなデザイナーズ・シェアオフィス」などというワードは、おそらく他ではまだ使われてはいないはずの、新しい独自の言い回しです。
こんなネタバレをブログで書くと真似されるのでは、などとご心配される方がおられるかもですが、真似して頂けるほどなら、このアイデアに共感される人がいる、価値ある取り組みだということ。
私たちは「PREMIUM OFFICE」というブランド名の割には、リーズナブル、ロープライスなシェアオフィスを標榜しているので、思い切ってこういう取り組みもできるのですが…
チープな装飾には、それをカバーするだけの効果の確信と勇気が必要ですから、ハイクラスな施設やブランドの方には、そう安易には真似できないかもですが、最初に提唱したのが「PREMIUM OFFICE スタッフ」だということは尊重して頂ければ、真似して頂くのも、サポートをご依頼いただくのもウエルカムです。
(ご予算潤沢なら、逆にもっといろんなインタレストができます。)
弊社は、シェアオフィスビジネスのご同業の皆様とは、競合する部分もあるでしょうが、基本的には不動産企画開発の会社なので、シェアオフィスを運営されているビルオーナー様やご同業の皆様も、オフィス探しから企画開発、リノベーション工事のニーズまで、お気軽にご相談下さい。
また、数十億円レベルのリニューアル等の大型ビルのコンストラクションマネジメントの受託もお引き受けさせて頂いている実績もございますので、大規模な工事のマネジメントにお悩みのビルオーナー様も、是非、ご相談ください。