ブルックリンスタイルの本質は、レンガ壁ではない。

ハンプトンスタイルとも通じる「自分らしく空間を編集する」という考え方

「ブルックリンスタイル」と聞くと、どんなインテリアを思い浮かべるでしょうか。

レンガ壁。
黒いアイアン家具。
ヴィンテージの木材。
エジソン電球。
少し無骨で、どこか古いアメリカを感じる空間。

もうかなり以前から、日本でもカフェやオフィス、住宅で人気を集め、一つのインテリアスタイルとして定着しています。

しかし、本当にブルックリンスタイルの本質は、レンガ壁なのでしょうか。
私は、そうではないと思っています。

ブルックリンスタイルは「デザイン」ではなく「暮らし方」から生まれた

ブルックリンスタイルの源流は、ニューヨーク・ブルックリン地区にあります。
1970年代から1980年代にかけて、このエリアには工場や倉庫が数多く残っていました。

当時は現在のような人気エリアではなく、家賃も比較的安く、多くのアーティストや写真家、デザイナー、建築家、ミュージシャンなどが移り住みました。

彼らに共通していたのは、決して裕福ではなかったことです。

高級マンションを借りる余裕はない。
高価な家具をそろえる予算もない。

だから彼らは、古い倉庫や工場を、そのまま自分たちらしく使い始めました。

レンガ壁は壊さない。
鉄骨も隠さない。
配管もデザインの一部として見せる。
中古家具を組み合わせる。
古い照明を再利用する。
そして、自分たちの作品やアートを飾る。

つまり、「新しいものを買う」のではなく、「今あるものを活かして、自分らしい空間をつくる」という発想です。

ブルックリンスタイルは、最初から完成されたデザイン様式ではありませんでした。
創造性と工夫から生まれた、ライフスタイルだったのです。

レンガ壁は「結果」であって「目的」ではない

日本では、「ブルックリンスタイル=レンガ壁」というイメージが強くなっています。
もちろん、それも一つの特徴ではあります。

しかし、それはあくまでも結果です。
本質は、レンガではありません。

本質は、限られた予算や条件の中で、自分たちらしい空間を編集することにあります。
もし当時のアーティストたちが、現代の東京に住んでいたらどうでしょう。
無理にレンガを貼るでしょうか。おそらく違います。

既存の壁を活かし、照明を工夫し、中古家具やヴィンテージ家具を組み合わせ、植物やアートを取り入れながら、その場所にしかない空間をつくったはずです。

つまり、ブルックリンスタイルとは「レンガ壁」という形ではなく、「編集する」という考え方なのです。

ブルックリンスタイルのPREMIUM OFFICE 浜松町

ハンプトンスタイルも、実は考え方としては近い

一方で、ハンプトンスタイルという内装スタイルがあります。
白や淡いブルー、自然素材、明るい光、上品でリラックスした雰囲気。

日本ではまだあまり一般的な言葉ではありませんが、海外の海辺の別荘や上質なリゾート住宅を思わせるスタイルです。
ブルックリンスタイルとハンプトンスタイルは、見た目だけを比べるとまったく違います。

ブルックリンスタイルは、無骨で、少し暗く、インダストリアル。
ハンプトンスタイルは、明るく、上品で、ホテルライク。

しかし、根底にある考え方には共通点があります。
それは、高級感を見せびらかすのではなく、自分らしく心地よい空間をつくるということです。

ブルックリンスタイルは、古い倉庫や工場を自分らしく編集した空間。
ハンプトンスタイルは、海辺の別荘のように、上質だけれど肩肘張らずに過ごせる空間。

歴史的な源流は違います。

しかし、どちらも「既成の豪華さ」ではなく、「その場所らしさ」「自分らしさ」「心地よさ」を大切にしている点では通じています。

だから、共用部がハンプトンスタイルでも、専有部は自由でいい

ここで重要なのは、建物全体を一つのスタイルで統一する必要はない、ということです。
共用部がハンプトンスタイルだからといって、専有部までハンプトンスタイルにそろえる必要はありません。
むしろ、小規模オフィスでは役割を分けた方が自然です。
共用部は、建物の印象をつくる場所です。
来客者が最初に目にするレセプション、共用廊下、会議室、トイレ。
ここは明るく、清潔感があり、ホテルライクで上品な方が、多くの企業にとって使いやすくなります。

一方で、専有部は企業の個性を表現する場所です。

IT企業なら、ブルックリンスタイル風でもいい。
クリエイティブ企業なら、レトロフューチャーでもいい。
士業なら、北欧やホテルライクでもいい。
スタートアップなら、ミッドセンチュリーやフューチャーモダンでもいい。

共用部は建物の信用感をつくる。
専有部は企業の世界観を表現する。

この役割分担があるからこそ、共用部と専有部のスタイルが違っていても違和感はありません。
むしろ、その違いが企業らしさを引き立てます。

建物のブランドと、企業のブランドは違う

オフィスデザインで大切なのは、建物のブランドと企業のブランドを分けて考えることです。
建物の共用部は、すべての入居企業と来客が利用する空間です。
だから、強すぎる個性よりも、清潔感、上品さ、安心感が求められます。

一方で、専有部はその企業だけの空間です。
そこでは、もっと自由に企業の個性を出していい。

ブルックリンスタイル風の無骨な空間でもいい。
北欧風の明るい空間でもいい。
バウハウス風のモダンな空間でもいい。
フューチャーモダンの先進的な空間でもいい。

来客者は、まず共用部で建物の品格を感じます。
その後、専有部に入って、その会社らしさを感じます。
この二段階の印象があることで、企業イメージはより立体的になります。

小規模オフィスに必要なのは、統一ではなく編集である

小規模オフィスでは、広さや予算に限りがあります。
だからこそ、すべてを高級にする必要はありません。

必要なのは、何を共用部に任せ、何を専有部で表現するかを考えることです。
共用部には、来客対応に必要な上質感を持たせる。

専有部には、その会社らしい個性を持たせる。

この分け方をすれば、限られた面積でも、限られた予算でも、印象の強いオフィスをつくることができます。
ブルックリンスタイルの本質が「古い倉庫を自分らしく編集すること」だったように、これからの小規模オフィスにも編集力が求められます。

大切なのは、流行のスタイルをそのまま真似することではありません。
その企業に合う要素を選び、組み合わせ、空間として成立させることです。

「スタイル」を選ぶのではなく、「企業らしさ」をつくる

PREMIUM OFFICEでは麹町では、特定のインテリアスタイルだけを提案したいとは考えていません。
共用部は、ハンプトンスタイルやホテルライクな要素を取り入れ、上品で来客対応しやすい空間に整える。

一方で、専有部は企業ごとの個性に合わせて、自由に演出できる余地を残す。

・北欧スタイル。
・ブルックリンスタイル。
・ミッドセンチュリー。
・バウハウス。
・フューチャーモダン。
・レトロフューチャー。
・ホテルライク。

どのスタイルを選ぶかが目的ではありません。
その会社らしさが伝わる空間になっているか。

来客が「この会社らしい」と感じられるか。
限られた空間と予算を、どう編集するか。

ブルックリンスタイルが教えてくれる本当の価値は、レンガ壁でもヴィンテージ家具でもありません。
そしてハンプトンスタイルが教えてくれる価値も、単なる白い壁や青いアクセントではありません。

どちらにも共通するのは、空間を自分らしく整え、心地よく使うという考え方です。

共用部は上品に。
専有部は自由に。
そして、企業らしさを空間で表現する。

それが、これからの小規模オフィスに必要なデザインの考え方だと思います。

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